DVTの診断と治療

DVTを疑ったら

リスク分類と D-dimer の値によってDVTを除外できる場合があります。除外困難であれば下肢エコーが必要です。

リスク分類

ガイドラインではDVT用Wellsスコアが提示されています。0点以下を低リスクとします。

DVT用Wellsスコア

2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン より引用

D-dimer の解釈

D-dimer のDVTに対する感度は95%超、特異度は40%程度と報告されており、低リスク群での陰性的中率は99%とされています。したがって、低リスク群で D-dimer が陰性であればDVTは除外できます。

一律に D-dimer > 0.5 μg/mL を閾値とすると、高齢患者ではDVTの除外が困難ともなりえます。そこで、50歳未満では 0.5 μg/mL を、>50歳では「年齢 x 0.01 μg/mL」をカットオフ値とする方法が提唱されています。

年齢ごとのD-dimerのカットオフ値

D-dimer [μg/mL]
50歳0.5
60歳0.6
70歳0.7
80歳0.8
90歳0.9
100歳1

中リスク以上の場合、D-dimer が陽性であった場合には、下肢エコーが必要です。一般床の症例では2-point US で十分な診断能があるといわれています。

治療

肺血栓塞栓症、中枢型DVT

肺血栓塞栓症を起こしている場合や中枢型DVT(膝窩静脈とそれより中枢側)である場合には抗凝固療法などの治療介入が必要です。ヘパリンで開始してワルファリンに切り替えるか、DOACで治療開始するかのいずれかを選択できます。

禁忌がなければ少なくとも3ヶ月間の投薬を行うのが原則です。

末梢型DVT

多くはヒラメ筋静脈に生じます。末梢型DVT(膝窩静脈より末梢側)に対する抗凝固療法の有効性は確立されていません。高リスクの場合、症候性の場合を除けば、7〜14日後に下肢エコーでフォローして増悪があった場合などに抗凝固療法を開始するのが一般的です。ガイドライン上、治療する場合の治療期間は3ヶ月に留めることが推奨されています(がんを除く)。

参考文献

ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第3版

2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Tamura.pdf

内科診療ことはじめ

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